変顔

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変顔

 次の日、いつも以上に憂鬱な登校日が来た。ただでも学校が辛いのに、コイツがいるなんて…… 「あ、ティアちゃん、おはよー」 「おはよう、ルル」  ピンクの瞳とショートボブが可愛い、私の後輩であり、唯一の友達。  ルルと挨拶をしていると、後ろからいつものメンバーがやってきた。メリッサたちだ。 「ルルさん!ダメですよ!ティアさんはこの学校の、大、大、"大先輩"なんですから、きちんと敬語を使わないと!」  取り巻きがクスクスと笑う。   「そうよ、私たちより"二つも年上"で、ま〜だ魔法学校に通っている、"大先輩"なんだから!」 「ねぇ、大先輩〜? 今日もメリッサ様の荷物持ち、お願いしますね〜?」  悔しくて、恥ずかしくて、惨めで、教室から逃げ出したい。でも、そんなの毎日のこと。毎日のことなのに、全然慣れない。辛い。 「ティアちゃん……」 「そんな顔しないで、ルル。私は大丈夫っ!」  きっと顔に出てるに違いない。私は今、どんな顔をしているのだろう…… 「ぷっ…… あはは、あはははは! ティアちゃん! 何、その顔〜!」 ――えっ…… え?  私はルルにも見捨てられて、バカにされるようになっちゃったのかな……と思いながら手鏡を見ると、とんでもない変顔をしている私がいた。 「ユウタアアアアア!!」  私は立ち上がりながら叫んだ。    教室が静まり返る。  私は変顔のまま、どんどん顔が赤くなる。 ――あはははは! ティア、可愛い顔してなかなかいい変顔できんじゃん、ふはははっ! ――絶対許さんんんんん!!!
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