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黒歴史
また私の華麗なる黒歴史の1ページが刻まれた。まあ、2年も留年してる時点で今さらって話なんだけど……
お昼休憩の時、ルルは他の同級生の友達に誘われて行ってしまった。それでいい。ルルは私と一緒にいない方が。
私は教室で一人、パンを食べている。
――いやあ、思い出すなぁ。俺も一人で飯食ってたからさぁ
――……そうなんだ
こんな男ですら、頭の中で話していると孤独感から少しは解放されるんだな……と思った。
――ところで、あなたは名前、なんて言うの?
――いやあ、それ考えててさぁ、俺、ユーザーネームとか考えるの苦手なタイプなんだよねぇ。いつも迷うんだよ。
――ユーザー……? よくわからないけど、なんて呼べばいい?
――うーん、もうユウタでいいや。俺の本名
――それがあなたの世界での、あなたの名前なの?
――そういうこと
「…………………………」
その会話を最後に、私は無言でパンをかじり続けた。もう頭の中のユウタとすら話さず、ただ孤独に耐えながら昼食を終えた。
――……私のこと、かわいそうとか思わないでね
――かわいそうなんて思ってたら、あんな変顔するかよ
「ふふっ。それもそうね」
思わず口に出して笑ってしまった。もしここにクラスの誰かがいたら、私の"気持ち悪いエピソード"に、また一つ追加されていたところだった。でも、幸い教室には私一人だった。そして、ふと思う。
いつぶりかなぁ、お昼休憩で笑ったの。
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