黒歴史

1/1

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ

黒歴史

 また私の華麗なる黒歴史の1ページが刻まれた。まあ、2年も留年してる時点で今さらって話なんだけど……  お昼休憩の時、ルルは他の同級生の友達に誘われて行ってしまった。それでいい。ルルは私と一緒にいない方が。  私は教室で一人、パンを食べている。 ――いやあ、思い出すなぁ。俺も一人で飯食ってたからさぁ ――……そうなんだ  こんな男ですら、頭の中で話していると孤独感から少しは解放されるんだな……と思った。 ――ところで、あなたは名前、なんて言うの? ――いやあ、それ考えててさぁ、俺、ユーザーネームとか考えるの苦手なタイプなんだよねぇ。いつも迷うんだよ。 ――ユーザー……? よくわからないけど、なんて呼べばいい? ――うーん、もうユウタでいいや。俺の本名 ――それがあなたの世界での、あなたの名前なの? ――そういうこと 「…………………………」  その会話を最後に、私は無言でパンをかじり続けた。もう頭の中のユウタとすら話さず、ただ孤独に耐えながら昼食を終えた。 ――……私のこと、かわいそうとか思わないでね ――かわいそうなんて思ってたら、あんな変顔するかよ   「ふふっ。それもそうね」  思わず口に出して笑ってしまった。もしここにクラスの誰かがいたら、私の"気持ち悪いエピソード"に、また一つ追加されていたところだった。でも、幸い教室には私一人だった。そして、ふと思う。  いつぶりかなぁ、お昼休憩で笑ったの。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加