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放課後
学校が終わり、家に帰ろうとしていると、またメリッサたちが話しかけてきた。
「あ、"奇人"ティア先輩じゃないですかあ!」
「な、何か用?」
イジメられ続けた2年間の経験で、私の身体は小さく震えている。
メリッサの取り巻きが、わざとらしく言う。
「えええー? あの、男を誘っては殴り飛ばすっていう、あの奇人のティア様ですかあ!?」
「こら、ちゃんと"大先輩"をつけなさいっ」
「はーい!」
クスクスとメリッサたちが笑う。私は足早に彼女たちから離れようとした。離れようとしたけど……
足が止まった。そしてメリッサたちの方へ歩き出す。
「おい、お前ら。さっきから黙って聞いてりゃ言いたい放題いいやがって」
私の口が勝手に言葉を発する。
――ちょっと!ユウタ!やめて!
メリッサたちは驚きのあまり固まっている。
「大先輩だと思うなら敬いやがれ!ブスども!」
――あ、あ、あ……!!! なんてことを……!
「メ、メリッサ様のどこがブスなのよ!ちょっとアゴが出てしゃくれてるだけでしょ!」
「そうよそうよ!あとちょっと歯並びも悪いし性格も捻じ曲がってるだけでしょ!少しくらい可愛いからって調子に乗って!」
俺の言葉より、むしろメリッサの子分たちの言葉がクリティカルヒットしたらしい。メリッサは泣いてしまった。
――いやー、あそこまでは言ってないぞ、俺……
――と、とりあえず逃げるわよ!
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