解決

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解決

「皆さん、いったん集まってください!」  やちよの大声に、薬局メンバーはもちろん捜査員の手が止まる。  やちよは震える手を後ろに隠しながら、推理を展開した。 「この事件には、ちぐはぐなところがあります。まずはリウマチ患者が医薬品代を惜しんで犯行に及んだという仮説ですが、これは誤りです」  鶴原刑事が鋭い眼光を向ける。 「ほう、どうしてそんなことが分かる」 「リウマチ患者が使うのは、15mgと7.5mg錠だけだからです。なのに犯人は45mg錠を優先的に盗んでいる。使わない薬を盗んでいるなんて、おかしいじゃありませんか」 「なるほど」 「犯人は薬局メンバーしか知らないであろうセキュリティシステムを熟知していた。薬局メンバーの犯行です」  山口さんが口を開いた。 「私は大阪社長と一緒に駐車場まで帰ったんですよ。社長はいつもの手提げ金庫一つしか持っていなかった。それに、私にはあまり薬の知識は無い。ということは、自動的に、」  視線が海野先生に集まる。 「いいえ。犯人は大阪社長と、外部犯です」  やちよは断言した。
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