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彼の手でいつのまにか服を剥ぎ取られていた。口付けしながら彼が僕の足の付根をそっと撫でる。さらに後ろの方へと手を滑らせ、彼の長い指で双丘の間をつつかれた。待ち望んでいた刺激に熱い息が漏れる。
「はぁっ……」
「君のここ、ヒートのせいで前回より柔らかい」
僕は恥ずかしくて、彼を黙らせるため両手で顔を掴みキスをした。
「ん……ぅ、ふぅ……っ」
彼の甘い香りに包まれて頭がふわふわする。口の中も後ろの指も気持ちがいい。
「綺麗だ、千景……全身甘い匂いがする」
「あ……ぁ、もっと欲しい。滉一さん、あつい……」
太ももを舐められ、期待と一緒に体の中心部が熱く膨らんで痛いくらいだった。
――彼のが欲しくてたまらない……。
「滉一さん、もう来て。お願い」
「千景すまない。今日は指で我慢して」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
「えっ? 何言って――」
「この部屋にスキンは置いてないんだ。人を呼んだことがなくて、まさか今夜君が来るとも思わなかったし」
「そんな……」
――こんな状況で本番ナシなんてありえない!
指でしてあげるから、と言って滉一はまた長い指を入れようとしたので僕は拒んだ。
「そんなのやだ。そのまましていいから」
「だめだよ千景。君は今ヒート中だぞ」
「だってこんなになってるのに、もう滉一さんのじゃないと嫌だよ。我慢できないからお願い、早く」
僕は彼の首に腕を回し、滉一の下腹部に自分のそこを擦り付けた。二人の甘いフェロモンでこっちはおかしくなりそうなのに、こんなときに大人の冷静さを見せないでよ。
「お、おい。このまましたら――」
「お願い。滉一さんと一緒に気持ちよくなりたい。だめ? 滉一さんが欲しい……」
ヒートのせいで頭に血が上っていて、しがみつきながら思わず泣いてしまった。
それで滉一は折れて、ようやく挿入してくれた。
「あっ、いい……」
アルファのもので貫かれただけで下腹部が痙攣し、性器の先端から液体が溢れる。結局挿入後は滉一も僕のフェロモンに抗えず、こちらが「もう無理」と言うのにやめてくれないほどだった。
「滉一さん、あっ、激しすぎ――。もうやめて」
「もう少し、まだいけるよ千景」
僕の体を押しつぶそうとでもいうように体重をかけてくる。同時にもうふにゃふにゃになっているソレを擦られて悶えた。
「ふぁ、あっ。だめ、だめ。もう……!」
最後はドライで達し、それもつらくなってきていた。バックから荒っぽく揺さぶられ、彼の息遣いがうなじにかかる。ハァハァという熱い息――たまに歯が当たっている。もういっそのこと彼のものになってしまいたい――。すると僕の心中を察したかのように滉一が囁く。
「噛んでいいか? 千景――噛みたい」
「いい、いいからもう、噛んでもいいから……っ」
僕の答えを聞くなり、彼の犬歯が僕のうなじの皮膚を破った。
「んんっ! ふ……ぅ……」
初めて感じる痛みと、そこからじわじわ広がる快感で頭がぼーっとする。滉一はますます興奮した様子で、僕の首に食らいついたまま腰を引き、また打ち付けた。
「んぁっ、ああっ。壊れちゃうからもうやめて、あっ、あっ……」
僕が懇願しても、ふーふーと彼の荒い息づかいが聞こえるだけでやめてくれない。
「ひぃ……っ。もう抜いて……! おかしくなっちゃう……」
滉一がようやく怒張を引き抜く。背中から臀部にかけて熱い飛沫を浴びた――その記憶を最後に僕は気を失った。
◇
目が覚めるともう朝だった。体がだるくて寝返りをうつのさえしんどい。僕は横になったまま滉一を睨んだ。
「旅行の時は、猫をかぶってたんですね」
思ったよりかすれた声がでてびっくりする。昨夜さんざん喘がされて喉がやられているんだ。
「なんのことだ?」
「だってあのときはあんなに優しかったのに!」
「君が激しくしてとリクエストしたんじゃないか」
僕の肩や首や胸は囓み痕だらけ、キスマークだらけのひどい有様だった。いくら文句を言っても、目の前の滉一は機嫌良さそうに僕の手を取ってキスしたり撫でたりしている。
「なにしてるんです?」
「ふふ、捨てなくてよかったよ」
「何を?」
彼が僕の腕を持ち上げ、手の甲を見せつけてくる。
「これ」
「あ……指輪……?」
「サイズ、調整してもらったから」
寝ている間に彼がマリッジリングをつけてくれていた。
まだ持っていてくれたんだ。もしかして、滉一さんも一ミリくらいは僕との復縁を考えてくれてたのかな。
「似合ってる」
そういって優しく微笑まれたら怒る気もなくしてしまった。
「……ありがとう」
「渡すのが遅れてごめんな」
「ううん。僕、決心がつきました」
「決心?」
「はい。大学を卒業後日本に帰ってきます。それまで待っててくれますか?」
滉一は笑顔で了承してくれた。
少しの期間離れ離れに暮らすことになるけど、あと1年ちょっとくらいなんとかなるだろう。
「寂しいだろうから、週末に遊びに行くよ」
「待ってます。でも僕きっと忙しくなるので毎週は会えないかもしれません」
「忙しくなる?」
「はい。僕……推し増しすることに決めました!」
「オシマシ?」
「はい。元々の推しをそのまま応援しつつ、新しい推しを増やすことです」
「新しい推し……?」
滉一の眉間にシワが寄る。
「イジュン単独じゃなく、ミンジェとのカップリングで推していこうかと……♡ 二人とも親戚になるわけですし」
「――なんだと?」
滉一のこめかみがぴくっと動く。
「だって、あのカップル素敵じゃないですか。困難を乗り越えての婚約! 推せる~!」
「あのなぁ……千景がミンジェくんと仲良くするのを俺がよく思ってないのがかわからないのか?」
「えー、でも滉一さんがつがいになってくれたから大丈夫でしょ」
もうミンジェのフェロモンは効かないし、ミンジェにも僕のフェロモンは効かないから。
「それはわかってるが――」
「弟カップルを応援するのもだめなんですか?」
滉一をじっと見つめる。数秒すると彼が目をそらしてため息をついた。
「……わかったよ。俺も毎週は行けないからな」
「よかった! 滉一さん大好き」
僕が彼に抱きつくと、ほわほわと温かいフェロモンが香って心地よさにうっとりする。
――つがいになるってこんなかんじかぁ~……。
ちらっと見上げると、彼もまんざらでもない顔をしていた。
「君は俺の扱いをもう心得たようだな」
「ふふ」
「潤二といい、千景といい――俺の身内のオメガは手強いな……」
そうブツブツ言いながらも彼は僕の体を抱きしめた。
寛大な旦那様のお陰で、僕は推し活をやめずに済みそうだ――そう思いつつ彼の胸の中で頬を緩ませた。
END
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最後までご覧いただきありがとうございました。
こちらは推しに関するコンテスト向けに勢いで書き始めたものです。
10年以上前にK-POPにハマってたことがあって韓国遠征もしていたのでその時の記憶を頼りに、今の変化した推し方も調べつつ書いてみました。
勢いで書き始めたのでおかしな点も色々あったかと思いますが、少しでも楽しんで頂けてたら嬉しいです。
個人的にはミンジェ×イジュンの高身長カップルも地味に気に入ってます。
優男攻めとキャンキャン吠えるタイプの受けの組み合わせ好きなんですよね(*^^*)
ペスタやペコメなど、ありがとうございました!
この次はDom/Subものを公開予定ですのでよければそちらもご覧下さい!
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