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今日は色んなドキドキを経験したと思う。
最初は、転校生が俺の口に舌を入れてきた時、また祐介や藤原にみっともない姿見せたって焦るドキドキ。
その後、巽に恋人になりたい「好き」を伝えられて身体が熱くなる緊張のドキドキ。
巽の言葉から転校生が宇宙人だと言うことを知って、正体を突き止めたいワクワクした気持ちのドキドキ。
そして、今、祐介が俺を殺そうと巽の部屋に訪れ目の前にいる、怖いっていう恐怖のドキドキだ。
思わず、巽の後ろに隠れてしまった。
祐介は何しに来たんだ...やっぱり俺を殺そうとしに来たんだろうか...?
殺したいくらい嫌われてるのに、俺はまだ祐介のことが好きで嫌われているってことを認めたくない自分がいる。
祐介の顔が見れなくて、巽の肩に頭を押し付ける。
「翔也、さっきは本当にやりすぎたと思う....
怖い思いさせたよな....すまなかった」
祐介の口から出たのは、思ってもみなかった言葉だった。
なんで、謝るんだ...嫌いなら嫌いって言えよ...
どうも祐介らしくなくて、ちらりと頭をあげ祐介の顔を見るとポカンと驚いたような顔をしていた。
「嫌い?俺がお前を?」
それ以外なんだって言うんだ。
ずっと今まで、俺は祐介のこと好きで兄弟みたいだと思ってたのに...
また、喉の奥が熱くなってきて巽を抱いている腕に力が入る。
返事は「嫌い」の一択って決まってるのに、次の祐介の言葉を聞くのが怖い。
勇気がない。こわい
でも、返事は俺の思っていた答えとは違うかった。
「あ"ーもう、嫌いなら何年も一緒にいたりしねぇよ」
....つまり嫌いじゃないってこと?
祐介とは小学生の時初めて会ってそこから今までずっと一緒だった。
確かにずっと前から嫌いだったのであればもう疎遠になってもおかしくない。
じゃあ、祐介はまだ俺を友達だと思ってるってことだよな...
怖くてドキドキしていた心臓は、安堵し通常の速さへと戻っていく。
よかっ、た...
祐介はもう怒ってないって言うし、巽から離れて祐介と仲直りした。
あんまり、気持ちを伝えてくれない祐介が、俺を嫌いじゃないって言ったんだ。
つまり、普通以上大好き以下だということ。
嫌いは無い。
だから顔が緩んで仕方ない。
でもここにいるのは、幼馴染の祐介と俺を認めてくれた巽だけ。
俺は緩む顔を引き締めようとはしなかった。
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