新種の動物は宇宙人らしい 〜生徒会長視点〜

9/9
1192人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
「じゃあ何が分かんねぇんだよ」 これ以上ここに書き足すこともない。強いて言うなら色を塗るくらいだから、色ペン貸してくれ。色鉛筆でもいいよ。 「さっき、翔也様は『転校生はどこから来たのか』俺に聞きましたよね? どこからって言うのは前の学校がどこかってことですか?」 「違う」 「はぁ?じゃあどういうことだよ」 「巽がさっき言ってたろ?宇宙人転校生って。 やっぱり、人間では無いと思ってたけどまさか宇宙人だったとはな... 巽はあいつがどこの星から来たのか知ってんのかなって思ってさ やっぱり火星か?」 巽の驚いて固まってしまった姿に、やっぱ火星じゃ無かったのか、って思った。 「いや、あの、翔也様、宇宙人ってのは例えで...」 「例え?でもあの声の大きさはもう宇宙人だろ」 「ぶはっ良いじゃん宇宙人、ピッタリじゃねぇか」 うーん...巽も詳しくはわかんないってことか... 俺らで考えるしかねぇな 「1番考えられるのはやっぱ火星だな。 木星型惑星は住めねぇだろうし、地球型惑星に絞られるけど水星と金星は暑すぎて住めないと思う」 木星型惑星は主成分がガスだからな、あんな人間型の生物が生まれるとは考えられない。 木星、土星にバツ印を付ける。 天王星型惑星は木星型惑星に比べてガス成分は少ないが、水やメタンが多い惑星だ。ここも同様にあんな人間型の生物が生まれるとは考えられない。 天王星と海王星にバツ印を付ける。 内惑星の2つは寒暖差がやべぇからな。もしここに住める身体であっても、地球に来た時どう影響するか分かんねぇし。 水星、金星にバツ印を付けた。 つまり考えられるのは、地球に最も近いだろう火星だけである。 ....そういえば、イギリスのSF小説に登場した火星人はタコのような姿をした生物だと記載されていた。 確かに、口の中に入ってきた舌は別の生き物みたいに動いていた。 多分、タコみたいにそれも触手だったのでは...? .....きもちわるっ 全身に鳥肌が立った。 ちょっとタコ型生物は生理的に受け付けなかったため、他の星で考察することにした。 「あ、衛星も考えられるな」 すっかり忘れていた衛星の存在を書き足していく。 とりあえず、地球型惑星の衛星を書き足した。 確か水星と金星には衛星が無かったはずだ。後で調べることにする。 地球には月、火星にはフォボスとダイモス。 準衛星は今はいいか。 描き足して、バツ印が沢山書かれた紙を眺める。 月と言えば「竹取物語」や「月うさぎ伝説」が有名だ。 「竹取物語」ではかぐや姫が月の都の住人であると記載されている。 一方、「月うさぎ伝説」は諸説あるが、疲れ果てた老人のために自分の身を捧げた兎を哀れんだ、神様は月に蘇らせ、みんなの手本としたと言う話だ。 これは、人が作ったただの作り話に過ぎないが、タコ型生物より兎の方が何1000倍もマシだ。 と言うか、うさぎであってくれ。 うさぎは触りたい。アレルギーじゃないから痒くもならない。 転校生がうさぎであることを願って、確認しに行こうとしたが祐介達に止められた。 「お前さっきされたこと分かってんのか!?」 「さっき?.......あ」 そういえば、さっき巽に嫉妬するって言われたことを思い出した。 宇宙人の威嚇だとしても、確かに俺は転校生とキスしてしまったんだ。 流石に恋愛に疎い俺でもわかる。今、転校生のとこに行けば絶対威嚇される。 つまり、キスされるってことで、巽にとっては気まずいよなって思った。 てか、俺ももうあの感覚やだ でもさ、今は人間に化けてるとして本当に転校生がうさぎだったらどうする? ちょっとわくわくした。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!