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もう何も考えたくないのに、色んな事が頭に浮かんで喉の奥が熱くなった。
不意に、ふわりと首に腕を回されて、背中に暖かい体温を感じた。
最初は、やっぱ逢坂も俺の事好きじゃなくて今から殺されるのかって思ったけど、逢坂が優しく腕を回すからこれは抱きしめられてるんだって気づいた。
「...俺は貴方ともっと特別な関係になりたいって思ってます」
耳元で言われた言葉に擽ったくて少しだけ身をよじる。
「特別...?」
「そう、特別...俺は貴方が好きです」
「貴方が好き」、その貴方ってのが俺だと気づいた時、胸の痛みは嘘みたいに治って、代わりにポカポカと暖かくなっていく。
嬉しい、うれしい
俺も好きだと伝えないと...言葉にしないと伝わらないことは今日学んだ。
「翔也様の好きは友人としてだと言うことは分かってます。そうじゃなくて恋愛対象として好きなんです」
「...ぇ?」
どうやら、俺の「好き」と逢坂の「好き」は違うものらしい。
でも「好き」ってことは一緒だし、「嫌い」じゃ無かっただけ嬉しい。
逢坂は言葉を続けた
「手を繋ぎたいしキスもしたい、それ以上の事だってしたい....ずっと一緒に居たい」
キュッと抱きしめられる力が少しだけ強くなった。
俺は言葉の意味を理解しようとしたけど、手を繋ぐとか、キスとか...それって恋人がすることなんじゃ....
逢坂と密着してるからかは分からないが、じわじわと身体が熱くなってくる。
「...これでも分かりませんか...?
好きなんです、翔也様が、ずっと前から」
耳元でつぶやくように言われて、心臓がバクバクと音を立てる。
えっと、逢坂は、俺と、恋人みたいなことを、したくて....え...?.....えぇ...??
頭がパンクして、逢坂の言った言葉が頭でぐるぐると回っている。
そんな状態の俺を無視して、逢坂はまだ言葉を続けようとした。
ほんとに待ってっ....一旦考えさせてくれっ
「朝倉君にも、藤原君にも、誰にも渡したくありません」
「まてってば!」
「あの宇宙人転校生なんて論外です」
「う、宇宙人...?」
「とにかく好きなんです....翔也様、俺を見てください...」
「すとっ、ストップ!一旦黙ってくれ!」
ほんとにこれ以上は俺が恥ずかしすぎてバカになる。
後ろを振り返って逢坂の口を両手で塞いだ。
な、な、なんなんだっ、は、恥ずかしい、顔が熱いっ
逢坂の顔を見つめたが、真っ直ぐ見据える目には俺の情けない顔が映っていた。
逢坂の顔が見れなくて、目を逸らしてしまった。
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