新種の動物は宇宙人らしい 〜生徒会長視点〜

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「.....お、おれは、逢坂は友達だって思ってたし好きだけど...恋愛感情なんて分かんねぇし....でも、これからも...仲良くしたい...それじゃダメか...?」 逢坂の俺に対する気持ちは伝わったけど、俺は恋愛...なんてしたことないし、逢坂を恋愛対象としてなんて見たことがなかった。 一緒の「好き」だけど、違うんだよな... 逢坂の俺に向ける「好き」は祐介が藤原に向ける「好き」と同じ種類だった。 同じ種類の「好き」じゃないと仲良く出来ないのかな... 俺が勇気を出して、伝えたのに何も答えてくれない逢坂。 「....」 「.......なんか喋れよ」 やっぱり、同じ「好き」じゃないから怒ってるのか...? 逢坂は好きだ、手を繋ぐのも、キスも嫌じゃない....と思う.... これは、俺も逢坂が「好き」ってことか...?恋人ってなんだ?てか、好きってなんだ? もう、頭の中で何もかもがゲシュタルト崩壊してあれもこれも意味がわからない。 「どうして何も答えてくれないんだ」って思ったら、俺が口を塞いで話せないからだった。 「ぁわ....ごめっ」 な、なな、なんで気づかなかったんだっ、俺のバカヤローッッ、恥ずかしすぎるっ、いっその事おれを殺してくれっっっ 思わず手を引いたけど、片方の手を逢坂が掴んで手の甲に唇を落とした。 あ、わ、わわ、わ 俺の頭はショート寸前、いや、ショートした。 多分、顔に血が回りすぎて何本か血管切れたんじゃねってくらい顔は熱いし、頭も回らない。 「今は分からなくて良いんです...翔也様はそのままで、俺が伝えたかっただけなので」 「...でも、逢坂...」 「巽って呼んでくれませんか?」 「え?」 「俺はもっと翔也様と仲を深めたいんです」 「わかっ、た」 「呼んでください」 「た、つみ」 「ありがとうございます」 今よりもっと仲良くなりたいのは俺も同じだけど、ちょっと一旦整理させて欲しい... 逢坂はずっと俺のことが祐介達と同じ「好き」で、俺は今さっきその気持ちを伝えられた。 でも逢坂は、不器用で、要領悪くて、アホな本当の俺を知らない... 素の俺を見たら絶対幻滅するに決まってる。絶対嫌いになる。 爺さんや祐介にも怒られてばっかだし....でもなんで怒られてるか分かんなくてまた怒られる。 もっと、よしよししてくれてもいいじゃん.... 俺、褒められて伸びるタイプだもん... 逢坂はいっぱい褒めてくれるけど、素の俺を知ったら褒めてくれなくなっちゃうかな... ...嫌だけど、偽ってる俺を好きってのはなんか嫌だ。多分、罪悪感だ。 本当の俺を見て欲しい...嫌われるのを承知で逢坂に伝えた。 「幻滅なんてしません、翔也様は翔也様です。そんなことで翔也様を嫌いになんてなりませんよ」 その言葉が耳を通って脳に届いた時、嬉しいって気持ちが全身に行きわったような感覚がした。 本当の俺を認めてくれた、逢坂は....巽は素の俺でいいって言ってくれた 撫でる手が余計に俺を嬉しくさせる。 飼い主に甘える犬の気持ちとかこんな感じなのかも... 巽はいっぱい褒めてくれるから好き 頭を撫でる手も、「よくできた」って褒めてくれる声も全部好きだ。 「...へへ、やっぱ俺巽好きだ」 俺の本音は簡単に口から漏れ出て、巽の顔が驚いた表情をしていることに気づく。 「ぁ...今のは...」 勝手に口から漏れて恥ずかしかった... 今のは勝手に口から出た、素の俺が最初にはなった言葉でもあった。 これで、素の俺は無理とか言われたらどうしようかと思ったけど、そんなことは無かった。 本当に、本当の俺を認めてくれたんだ... 「いつか俺と同じ好きにさせるので覚悟しといてくださいね」 「ぇえ...」 俺が巽と同じ「好き」になるのも、もしかしたらすぐなのかもなぁなんて考えていたら、巽に抱きしめられた。 嫌悪感は全くなくて、巽の体温と少し早い心臓の鼓動がむしろ心地よかった。
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