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巽に抱かれたまま少し時間がたった。
そ、そろそろ恥ずかしいんだけど....まだ、離さないのか...?
お、俺もぎゅってした方がいい...?
巽の背に手を回そうとゆっくりと手を上げたが、1本のインターホンの音が鳴り、上げていた手を慌てて下げる。
自分の行動が恥ずかしくなり、「名残惜しい」と言った巽に対して、ぶっきらぼうに「早く行け」と答えてしまった。
「少し待ってて下さい」と頭を撫でられて、玄関へ向かった巽。
頭を撫でられるって行動は巽に何回もされてるはずなのに、変に意識してしまう。
...今まで通り、巽と接せれるかな....
祐介と藤原に会うのは気まずい。それは、嫌われてると知ってしまったからだ。
巽と話すのも少しだけ気まずい...祐介たちとは違って俺のことが好きだって分かったから。
先程の会話が頭をよぎる。
『...俺は貴方ともっと特別な関係になりたいって思ってます』
『...俺は貴方が好きです』
『手を繋ぎたいしキスもしたい、それ以上の事だってしたい....ずっと一緒に居たい』
『...これでも分かりませんか...?
好きなんです、翔也様が、ずっと前から』
『朝倉君にも、藤原君にも、誰にも渡したくありません』
『あの宇宙人転校生なんて論外です』
『とにかく好きなんです....翔也様、俺を見てください...』
思い出して、また心臓がバクバクと早くなった。
ずっと前からっていつだよ....
祐介も藤原も俺のことが殺したいほど嫌いなんだから渡すも何も無いだろ...
宇宙人転校生.......
宇宙人転校生?
...転校生って宇宙人だったのか!?
通りで、あんなに声がでかいのに人間の言葉が通じないわけだ!
確かに、新種のヒト科の動物と言われるよりも宇宙人だと言われた方が納得する。
新種のヒト科がこんな公の場にいて、研究対象として見られていないのはおかしい。
それで納得した、巽が言うように新種の動物は宇宙人らしい。
巽はすごいな...転校生を宇宙人だと知っていたのか?
あの転校生が宇宙人だということはわかったが、いったいどの星からやってきたんだろう。
俺らと同じ人間の形をしていることから、地球に似た環境で育ったに違いない。
巽が戻ってきたら、聞いてみよう。
多分俺は火星だと思う。
答え合わせが楽しみだ。
巽、早く戻ってきて
転校生のことが気になって仕方が無くなった俺は、さっきとは違うドキドキで巽が戻ってくるのを待った。
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