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 窓からの景色は、贅沢なシティービュー、遠くには富士山も見える。  こんな景色を見ながら食べるモーニングは初めての沙羅はご満悦で、コーヒーカップに口を付けた。 「富士山が見えるなんてすごーい。ふふっ、富士山を見るとなんだか得した気分になるのは何でなんだろう⁉」 「うーん。日本人のDNAに刻まれているんじゃないかな」 「そうかも、意外な場所で富士山見ると嬉しいのよね」 「羽田から小松空港行きの飛行機で見る富士山も迫力があって、なかなかいいよ」 「飛行機から見る富士山かー。いいなぁ、チョット見てみたいかも」 「飛行機だと飛び立ったと思ったら、直ぐに富士山が見えてくる。うっかりしていると、お弁当を食べる暇もないぐらい、あっという間に小松空港に着くけどね」 「でも、富士山は綺麗に見えるんでしょう?」 「ん、今度チケット送るから娘さんと金沢においで」 「ありがとう。娘も金沢に行ってみたいって言っていたから、喜ぶと思うわ。受験が終わったら遊び行こうかしら?」  お互いが気持ちを確かめ恋人同士になった今、この前の時には出来なかった未来の約束を口にする。   「……しばらく遠距離恋愛だね。時間が取れたら会いに来るから」 「慶太も忙しいでしょう。無理しないで」 「大丈夫、飛行機も新幹線もあるし、東京まで出るのは、前よりずっと近くなってるから」        
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