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「じゃあ、いってきまーす」 「気をつけてねー!」 元気良く手を振る美幸を見送って、沙羅は部屋に戻った。 キッチンカウンターの上で充電中だったスマホが点滅している。 慶太からのメッセージだ。 『おはよう。金沢の天気は晴れ。週末の土曜日仕事で東京へ行く。午後2頃から夕方までの短い時間だけど会えるかな?』  直ぐに土曜日の予定をチェックした。ハウスクリーニングの仕事はお休み、美幸は午後から塾の講習が入ってる。これなら、誰にも迷惑をかけずに時間が作れる。 久しぶりに慶太に会える。そう思っただけで、口元がだらしなく緩んだ。 『おはよう。東京も秋晴れの空。土曜日ですが、その時間なら空いています。会えるの楽しみです』 『俺も楽しみだよ。どこか行きたい所ある?』  慶太とふたりで居られるのなら、どこでもいいと言いたかった。でも”どこでもいい”は、一番困る返事だ。   『調べてから連絡するね』 『わかった。俺も候補上げておく』 『楽しみにしています』  慶太からの返信は、足の短い猫(マンチカンかな?)が首を傾げている可愛いスタンプ。  最近、藤井家の猫たちに夢中だという話しをチラッとしただけなのに覚えていてくれたみたいだ。 「ふふっ、慶太に会えるの楽しみ」        
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