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結局、花火は約1時間盛大に打ち上げられ、僕らの心に深く刻まれた。
やっぱり花火はいい。
綺麗だし、迫力あるし、テンションがあがる。
僕らは興奮冷めやらぬまま、帰途についていた。
「はあー、よかったねー花火」
「ほんとだね」
「また来年も来ようよ」
「うん! 行こう行こう!」
来年と言わず、再来年も、そのまた次も……できればずっと。
「……それでね、森下くん」
急に神楽坂さんが神妙な面持ちで話し始めた。
「なに?」
「ずっと思ってたんだけど……私たちって、付き合ってるのかな?」
ドキリとした。
核心の部分をいきなりついてきた。
まさに僕も思っていたことだ。
でもまさか今この場で言われるとは思わなかった。
「ど、どうだろう……」
僕らは恋人なのだろうか。
肯定もできないし、否定もできない。
「ねえ、森下くんはどう思う?」
「へ?」
「私たち、付き合ってると思う?」
「つ、付き合ってるような……付き合ってないような……」
「どっち?」
「えー、いやー、うーん」
付き合ってると言うと自意識過剰かもしれないし、付き合ってないと言うとそれはそれで認めたくない自分がいる。
「やっぱり、こんな性癖の女とじゃ付き合いたくないよね……」
しゅん、とうなだれる彼女に僕は全力で首を振った。
「全然! 全然! むしろ、大歓迎! その性癖、大歓迎!」
我ながら何を言ってるんだと思うが、悲しそうな彼女の顔を見るのは嫌だった。
「逆に付き合って欲しいくらい! ってか、付き合ってください!」
「あ」と思った。
これ、普通に告白じゃん。
まさに勢いでの告白。
ムードもへったくれもない。
しかし神楽坂さんはパアッと顔を輝かせて「ほんと!?」と言ってきた。
「ほんとに!? 私なんかでいいの!?」
「え……、あ、うん。神楽坂さんがいいです……」
言わされた感満載の最低な告白にも関わらず、彼女は「嬉しい!」と言って抱きついてきた。
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