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7’
あれから1週間。
出張の間、キツく言い過ぎただろうかとずっと気になっていた。
そして自分の気持ちも言わずにいたのはズルかったかなと。
言ったことは間違ってないと思っているし、後悔もしていない。
ただ、藤田にとっては突然過ぎたかな。
…いや、あれくらい強いキッカケじゃないと意味ないし。
俺の気持ちも一緒に伝えたところで混乱させていたと思うし。
ガラにもなく、そんなことをぐるぐる考えていた。
連絡先は知っている。
でも、キツく言って悪かったな、と伝えるならまた面と向かってがいいだろう。
連絡はしなかった。
さっきシステムの打ち合わせに来る時に、雨降りの賭けを藤田から持ち出してきた。
頭も痛く無さそうだし、朝たまたま見た天気予報も雨じゃない。
話しがあるんだろう。
そして前回俺がご馳走したから今度はお返ししてくれるつもりなんだ。
甘えベタな藤田らしいやり方だ。
バレバレの誘い方が愛おしかった。
彼と別れたか、絆を再確認して結婚することになったか、そのどちらかか。
どちらにしても藤田が幸せになるならそれでいい。
別れたのなら、これからは遠慮なくいかせてもらう。
驚くだろうな。
俺のことを優しいと思ってるようだけどそれは藤田限定だってこと、そしてなんで彼女がいないのか、ゆっくり、だけどハッキリ伝えていくよ。
12年の傷は深いだろうから、癒しながらね。
まずは一緒に山に登って空を見上げたい。
空を見上げて微笑む顔を見ていたい。
そう、幸せにしたいんだ。
打ち合わせ終わるのがドキドキする。
本当、俺らしくねぇよ。
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