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打ち合わせは2時間以上かかり、終わったら18時を過ぎていた。
『長かったなー。』
遠藤くんがアクビをして座ったまま背伸びする。
『まあ、みんな今のうちに要望は言っておかないとね。
出来上がってからじゃ遅いもんね。』
『細かいことたくさん言ってくれて助かっよ。
やっぱり営業から俺だけじゃなくてよかったわ。』
真っすぐに褒められて、ちょっと照れくさい。
ドヤ顔でピースして誤魔化した。
会議室の椅子から立ち上がる時にクラッとした。
おかしいな、薬飲んだのに。
気のせいだと思うことにして、営業部へ戻る。
さすが金曜日、誰も残ってなかった。
やりかけの仕事どうしようかな。
中途半端で帰るのは後味が悪い。
特に土日の休み前だし。
片付けてから帰ろう、と心に決めてパソコンを立ち上げた。
画面を見たらまたクラッとした。
こめかみを押さえていたら、後ろから『帰ろうぜ。』と声をかけられた。
『遠藤くん、先に帰って大丈夫だよ。
少し片付けてから帰るよ。』
『さっきも椅子から立ち上がる時に目眩してただろ?
調子悪そうだから送るよ。
俺、月曜日の朝イチから静岡出張だから営業車で帰るんだよ。』
そう言って車の鍵を見せ、近づいてきて私のパソコンの電源を切った。
『それに』
私が不満げに帰り支度をするのをニヤニヤして待ちながら続ける。
『本当に雨降ってるよ。
約束通り、コーヒー奢るよ。』
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