巷で噂の華麗なる怪盗

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「かっこいいよね〜!闇夜に紛れて、盗まれたものを悪い人たちから華麗に取り返して、持ち主に返しちゃうんだもん!」 「そうなんだ。詳しくはよく知らないけど…」 わたしはそう言いながら、ランドセルから教科書やペンケースを取り出すと机の引き出しにしまった。 わたしの名前は、日暮(ひぐらし)鈴。 北川(きたがわ)小学校、通称『北小(きたしょう)』に通う、ごく普通の小学5年生。 普通といっても、毛先にかけてクセのある長い黒髪に大きなレンズの黒縁メガネをかけていて、どちらかというと地味な見た目かもしれない。 おしゃれや流行りものに興味があるわけではないし、目立つことも苦手だからこれがわたしらしい姿だ。 それに、こんなわたしだけどそれなりに友達はいる。 その中でも、とくに仲がいいのは――。 「鈴ちゃん、おはよ〜!昨日の話、聞いた!?」
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