良質な睡眠を

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食後に歯磨きを済ませて就活用のA4サイズのバッグを掛けて、私は予定通りに家を出た。 寒さ対策用のコートも忘れない様にと羽織った。 「行って来ま〜す」母に聞こえる様に意識的に大きな声を出した。 最寄り駅まで、10分弱の道程をパンプスで颯爽と歩く。 今日も、気持ちいい位良い天気で自ずと気分が高揚して来る。人って、簡単に天気で気分が左右されてしまうのは何故なんだろうか? 雨が降ってれば気分が塞ぐし、どうしても憂鬱にもなる。 雨が好きな人も少なからず居て『雨の日が好き』なんてのたまう。少しでも見習いたい物だ。 頬を撫でて行く風が少し冷たいけれども身が引き締まる想いがして、うん悪くない。 最寄り駅に着き電車に乗ってから、一条さんにメールを送る。 昨夜の御礼を込めてだ。 『お早うございます。本当に昨夜は有難うございました。昨夜は一条さんの帰宅が遅くなってしまい申し訳ありませんでした』 直ぐ返信が来た。 「お早う、早いね」 「これから面接に行く所です」 「面接頑張れよ、帰る時はくれぐれも気をつけろよ、夜電話するから」 未遂事件は、私の一条さんに対する意識を根底から変えた。 今迄、正直言って就活仲間としか思っていなかったのだけれど今は確かに違う。 彼に対する目が違うし、少なからず彼を頼りにする気持ちが出て来た。その変化に一番戸惑って居るのは、自分自身だ。
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