悪役令嬢症候群

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 なんとか逃げだせた私たちはそのまま馬に乗って帰路についた。  すっかり日が傾いて夕日が地平を赤く染めていた。 「先生、この白馬はどこから持ってきたんですか?」 「これ? これは陛下の馬だよ。目立ってたから拝借したんだ。きっといいやつだろうと思ってさ」  どおりでやたらと速い馬だと思った。 「でもよかったのか? あの娘は結局王子と結婚することになってしまったけれど」 「いいんじゃないですか? あの様子なら……」 「ま、君がそれでいいのならいいけどね」    先生にしがみつく腕に力を込める。  香水の香りの奥からつんと汗の匂いがした。   「ところで先生。男装もなかなか似合ってますね」 「そうかな? ズボンだったのは馬に乗りやすくて助かったけど」 「まるで、白馬の王子様みたいですよ」
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