5.この世界

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 耳鳴りがして保健室に行ったときだった。 「いらっしゃい」  ドアを開けると、先生がにっこり笑いながらそう言った。 「すみません、耳鳴りがして少し休ませて貰ってもいいですか」 「もちろん」  ベッドに横になっていると、だんだんと耳鳴りがおさまってきて頭がクリアになる感じがした。  天井を眺めながら、絵梨と二人でここで過ごした日々を思い返した。 「アイスティーあるけど、飲む?」  カーテンから顔を覗かせた先生に尋ねられて、私は頷く。 「ガムシロいる?」 「……お願いします」 「ちょっと待っててね」  冷蔵庫を開ける音がして、すぐ後にカップに液体が注がれる爽やかな音がした。 「はい、どうぞ」  カーテンの隙間から身体を滑り込ませて、先生は私にマグカップに入ったアイスティーを差し出してくれた。 どこかで見覚えのあるキャラクターが描かれたカップ、地元の銀行のキャラクターだと思い出した。  私がカップを受け取った途端に、先生の白衣のポケットに入っているスマホが震えた。 「ん、ちょっとごめん」  そう言って先生はスマホの通話ボタンをタップする。
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