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耳鳴りがして保健室に行ったときだった。
「いらっしゃい」
ドアを開けると、先生がにっこり笑いながらそう言った。
「すみません、耳鳴りがして少し休ませて貰ってもいいですか」
「もちろん」
ベッドに横になっていると、だんだんと耳鳴りがおさまってきて頭がクリアになる感じがした。
天井を眺めながら、絵梨と二人でここで過ごした日々を思い返した。
「アイスティーあるけど、飲む?」
カーテンから顔を覗かせた先生に尋ねられて、私は頷く。
「ガムシロいる?」
「……お願いします」
「ちょっと待っててね」
冷蔵庫を開ける音がして、すぐ後にカップに液体が注がれる爽やかな音がした。
「はい、どうぞ」
カーテンの隙間から身体を滑り込ませて、先生は私にマグカップに入ったアイスティーを差し出してくれた。
どこかで見覚えのあるキャラクターが描かれたカップ、地元の銀行のキャラクターだと思い出した。
私がカップを受け取った途端に、先生の白衣のポケットに入っているスマホが震えた。
「ん、ちょっとごめん」
そう言って先生はスマホの通話ボタンをタップする。
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