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目を覚ますとそこは、自分の部屋じゃなくて学校の保健室にあるベッドの上だった。
すべて夢だったんだろうか。
それにしては随分とリアルな死に際だった。
「……死ねたと思ったのに」
保健室にはよく通っていた。
教室よりもこの部屋にいる時間の方が長いかもしれない。
お腹が痛い、足が痛い、眩暈がする、なにも思いつかない時は俯いただけでもう吐きそうと嘘をついた。
実際に吐きそうなくらい辛い思いをしていたから、あながち間違ってもいないが。
私がこうなった理由は、友達だった茜のせいだ。
ある日の休み時間にトイレの個室の中で偶然聞いてしまったのだ。
「クラス替えで一緒になったのあの子だけだったから、仕方なくって感じ。ぶっちゃけ、ビジネス仲良しって感じじゃん」
きゃははという甲高い笑い声が重なり、思わず耳を塞いだ。
親友と呼べるような間柄ではないのは承知していたけど、それでも色々と話せる"友達"だって思ってたのに。
思い出すだけでも足元に暗闇が広がっていって堕ちていくような感覚になる。
悲しいも、辛いも通り越して、ひたすら目の前が暗くなる。
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