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2.出会い
ベッドから降りてカーテンから顔を覗かせる。
何の気なしに目に入った机の近くに掛かっているカレンダーに、違和感を感じた。
近づいて見ると、曜日の欄がおかしな事になっている。
『月・火・水・木…』と続くはずの曜日が、どういう訳か『冥・冥・冥・冥…』と連なって書かれているのだ。
「冥って……どういう事?」
一瞬イタズラかとも考えたが、目を凝らしても、指先で擦ってみても、その曜日はカレンダーにきっちり印字されたものだった。
パラパラと他の月を巡ってみても同じく、延々と『冥』という曜日が並んでいる。
「えっ……恐っ」
思わず呟くと、恐る恐る保健室を抜け出して廊下へと出てみる。
適当に入った教室でまたカレンダーを覗き込むと、やはり曜日の欄はすべて『冥』という字が書かれている。
早足に入った職員室のカレンダーの曜日は英語表記だったけど、見たことも聞いたこともない『NOR』という単語が書かれていた。
「意味がわからない」
どういうことかと聞いてみたくても、さっきから廊下も教室も職員室にも、誰ひとりいないのだ。
一年の教室の黒板の日付に書かれた『冥』という文字を見詰めながら途方に暮れていると、背後で物音がした。
「……誰?」
この状況で現れたので、幽霊かと真っ先に疑った。
よくよく考えてみれば、謎の曜日『冥』が死後の世界の『冥界』という意味の可能性もある。
教室の入り口に立つ女の子は自分と同い年くらいだった。
「……そっちこそ、誰?」
互いに無言でじっと見詰め合う。
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