2.出会い

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 向こうは鋭い眼差しで、つま先から頭の先までつらっと私の容姿を見た。  違和感は拭えないけれど、自分と同じ制服を着ている様子からして同じ学校の生徒なのは間違いなさそうだ。 「この学校の生徒……だよね」 「そうだけど。そっちも?」  そうだと答えると、彼女は肩から下げていた紺色のスクールバックを机の上に乱暴に置いた。 「そっちは何組?」 「2年A組」  私が答えると、彼女はずかずかと足音を踏み鳴らしながらこちらに近づいて来た。 「……しょうもない嘘つかないでよ。私も2年A組だけど、あんたを知らない」 「私だってあんたを知らない」  互いに訝しげな顔で見合いながら、私は再び口を開いた。 「どういう事なの、あのカレンダーの曜日の冥って何なの」 「めい?」  私は黙って教室の隅に貼られているカレンダーを指差す。  彼女は指されたそれに近付くと、目を凝らして曜日の欄に書かれた謎の文字を見た。 「えっ……超怖いんだけど」 「同じ事言ってる」  思わず吹き出した私の顔を見て、彼女も微かに頬を緩めた。 「私、鈴木芽衣」  手を差し出すと、目の前の彼女は机に手を付いて身を乗り出しながら私の手を取り「田中絵梨」と名乗った。  絵梨は握っていた手をぱっと離すと、壁に掛けてあるカレンダーをパラパラと雑に捲る。 「このカレンダー何年かも書かれてない」 「ホントだ」  絵梨は肩から提げていたスクールバックから、二つ折りの携帯電話を取り出す。 「携帯は普通に動いてるけど」 「え、待って何でそんなの使ってんの?」  私が指差しながら言うと、絵梨は途端にしかめ面をした。 「そんなのって、えっ、普通にケータイっしょ」 「ガラケーってやつでしょ。スマホじゃないの?」 「……スマホ?」  私はポケットからスマホを取り出すと、絵梨の顔の前に突き出した。 「えっ、なにこれ?!」  ロック画面を間近に覗き込んで、絵梨は目を白黒させている。 「なにこれ、パズル?」
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