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絵梨は少しの間黙っていたけど、そっと私の背に手を回して宥めるようにさすってくれた。
「私もだよ」
小さな声で絵梨が呟く。
「私も、車が走ってる道路に飛び出した」
「どうして」
「……親友に言われたんだ……"新しいクラスに馴染みたいから距離を置こう"って」
「………」
「私、どっちかというとオタクって感じなんだけど……向こうはなんか、だんだん垢抜けてきてさ」
絵梨は苦々しく笑うと、俯いた。
「私のこと、邪魔になったんだと思う」
まるで、背中に添えられた手から悲しい気持ちが伝わってくるみたいだった。
私は制服の袖で涙を拭うと、絵梨に笑い掛けた。
「私たち、ここに辿り着く運命だったのかもね」
絵梨はそっと顔を上げると、今にも泣き出しそうな顔のまま笑った。
「そうだね」
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