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3.居場所
そこから数日間は、学校付近で生活を続けた。
すぐ近くにあるスーパーから食料品を持ち去り、家庭科室で調理をして食べた。
民家も駐車場も、スーパーもガソリンスタンドにも、本当に誰ひとりとして、存在していなかった。
「ちょっと何やってんの」
「パン祭りのシール集めてんの」
「シール泥棒じゃん、犯罪じゃん」
スーパーの店頭で、手元の折り畳み携帯にペタペタとシールを貼りながら絵梨がにやりと笑ってみせる。
「はい、芽衣にもお裾分け」
私のスマホにペタッとシールを一枚貼り付けて、絵梨は満足そうな顔をする。
「2006年のキャンペーンシール貰っても意味ないじゃん」
「まあ、そもそもここでシール集めたところで皿、貰えないんだけどね」
「……たしかに」
私が気まずそうに黙り込むと、絵梨はそれでも笑いながら私の肩を叩いた。
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