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ベッドがあるから寝床は保健室を選んだ。
他に誰もいない学校に寝泊まりするのが最初は怖かったけど、あっけらかんと言い放たれた絵梨の「誰も存在してないんだから、普通に幽霊だっていないでしょ」という一言がやけに腑に落ちた。
「学校ん中だと、やっぱ保健室が一番落ち着く」
そう言って絵梨はベッドの上で伸びをした。
「嫌なことがあるといっつも保健室に逃げ込んでた」
「私も一緒だよ」
隣のベッドに寝そべりながら私が答えると、絵梨が嬉しそうに笑う。
「ここしか居場所がなかった」
天井を見上げながら私がぽつりと呟くと、絵梨は、がばっと勢い良く起き上がった。
「ねぇ、ここならどこでも私達だけの"居場所"だよ」
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