第9話(BL特有シーン・回避可)

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第9話(BL特有シーン・回避可)

 ムッとして押し黙ったシドの心模様を映し出したかのように、窓外が急に暗くなったかと思うと、いきなり雨が降り出した。  気象制御装置(ウェザコントローラ)など上がっていないこの惑星マベラスは表面の八割以上が熱帯雨林、土砂降りのスコールだ。 「先にミリアットの調整しといて良かった……って、必要なくなったんだっけ」 「……」 「そんなに沈まないで。人殺しの任務よりいいじゃない」  その声のトーンの変化にシドは敏感に反応する。灰皿で煙草を消して立ち上がると壁に凭れて腕組みをしたハイファに近づき、抱き締めて唇を奪った。 「んんっ……ン、ぅうん……はあっ!」  ハイファの口内をさんざん蹂躙してから解放したシドは唇から頬へ、頬から耳朶へとキスを仕掛け、柔らかな耳たぶを甘噛みする。 「人殺しだろうが、何だろうが、これからはお前独りじゃねぇんだからな」 「あっ……だめ、い、やあ……っん!」 「何でだめなんだよ」  戦闘服の上から体のラインを幾度もなぞられ、ハイファは身を捩らせて抵抗した。 「だって、射場で硝煙と、砂埃だらけ……リフレッシャ、使わせて」  抵抗はいとも簡単にいなされて、片手で器用に腰に巻いた弾帯を外される。僅かにベルトを緩められ上衣の裾を引き出された。上衣のジッパーを引き下ろしTシャツを捲り上げてシドは白くきめ細かな肌を愛撫する。  指先で攻めながら、ハイファの耳許に熱い吐息と共に囁いた。 「ンなモン、構わねぇよ。俺も一緒だ」 「あっ……いや、あっ……シド、あ、はぁん」  甘く鳴いてしまったが最後、ハイファは眩暈のような攻勢に堪えるだけとなる。  捲り上げられ現れた白い腹から胸にかけて濃厚に舌を這わされ、胸の小さな尖りをしゃぶられてハイファは言葉もなくシドの頭を抱き、艶やかな黒髪をかき乱した。  ハイファの反応に満足してシドは口を離す。白い胸に赤く凝った突起が酷くエロティックな眺めで、堪らずシドは噛み付くように首筋に顔を埋めた。  男の持ち物とは思えないほど華奢な鎖骨辺りを強く吸い上げ、自分の証しを赤く刻む。 「愛してる……何をするのも、ずっと一緒だぞ」 「シド……僕も、愛して……あうっ!」  立ったまま、着衣のままで上半身のあらゆる処にキスをされ、舐めねぶられた上に下衣の上から躰の変化を撫で上げられ、ハイファは膝を折りそうになるのを堪えた。   一歩、二歩と後退して壁に背を預ける。 「んっ、シド……それ以上、ああっ!」  躰の中心をきつく掴まれてハイファは躰を跳ねさせた。掴んで扱くシドの手をやっとの思いで押し留める。僅かな反撃とばかりにシドの着衣に手を伸ばした。  躰に炎を灯されたハイファは夢中で象牙色の滑らかな肌を求める。引き締まった腹から逞しい胸に手を這わせた。  掌に吸い付くようにしっとりとした象牙色の肌が酷く愛しい。 「うっ……く――」  なまめかしいハイファの愛撫にシドも思わず呻く。だがシドはその手も封じてしまい、更には膝でハイファの脚を開かせ戦闘服の上から互いのものを擦り合わせた。  もう二人とも痛いくらいに勃ち上がらせているのは分かっている。 「でも、急に……どうしちゃったの? もう少しだけ、我慢、んんっ!」 「お前ばっか、あんな腹に響く銃をぶちかましやがって。俺は撃ち足りねぇんだよ」 「何それ、子供みたい……んっ、シド……もう、お願い――」  完全に陥落したハイファは自らベルトを緩め、潤んだ若草色の瞳で切れ長の黒い目を上目遣いに見た。頷いたシドはハイファの下衣を下着ごと膝下まで引き下ろす。  露わになったそこは蜜が滴りそうなくらいに濡れそぼっていた。自ら乞うたこととはいえ、躰はこんなに欲しがっていることを知られ、ハイファは羞恥に顔を背ける。  そんなハイファの細い腰をシドは片腕で抱き寄せ片手で屹立を掴んで数回扱いた。濡れた指をハイファの後ろに回し敏感な処を探る。 「んっ……あ、ああっ……はぅんっ!」  一本目の指を侵入させ、するすると進めて奥を掻くとハイファは高く喘いだ。  リフレッシャさえも浴びさせて貰えなかっただけではなく、何の抵抗もなくシドの指を咥え込んだ淫らな躰が恥ずかしく全身が上気する。  超至近距離で見つめる端正なポーカーフェイスに、余計に羞恥が募った。  息を詰めて二本目を迎え入れ、喘ぎを洩らしながらシドにしがみついた。 「んんっ、ふ……あ、ああんっ!」  体内を蠢く指は自分を傷つけないよう、これ以上は無理なほどに深爪した指だ。その指先がもたらす快感に全てが征服されていた。  性急に指は増やされ翻弄される。絶え間なく喘ぎながら知らずハイファは自ら細い腰を波打たせていた。 「ハイファ、あんまり動くな、傷つける」 「んっ、あっ……傷つけて、いいから」 「そんな訳にいくか……くっ!」  咥え込まされた数指に体内をバラバラに嬲られて、とうとうハイファは理性を手放した。  自力で立っていられずシドの首筋に縋り付いている状態なのに、腰は勝手に激しく前後し始める。そんなハイファを前にしてシドも冷静でいられる訳がなかった。  甘い鳴き声を聞かされ続け、疼きが溜まりきっている。  全ての指をそっと抜くとハイファを促して壁側に向かせた。 「シド、お願い……んっ、貴方が、欲しいよ」 「ああ、俺もだ。お前が欲しい」  素早くベルトを緩めてズボンの前をくつろげ、シドは滾ったものを露出させた。上衣の裾を持ち上げると、ハイファに張り詰めきったものを押し当てる。 「いいか、入れるぞ」  欲しがるひくつきにぬめりを塗り広げながら、シドはじわりと切っ先を食い込ませた。引き裂いてしまわぬようできるだけゆっくりと狭いそこに身を埋めてゆき、半ばまで入ったところで残りを一気に根元まで突き上げる。 「あっ、はぁん……あ、あっ……あうっ!」 「う、くっ……ハイファ、力、抜いてくれ」  指とは比べものにならない太さのものを受け入れ、ほぐしきった筈のそこは意外なまでの締め付けでシドを呻かせた。  だがハイファも灼熱の楔に縫い止められて返事をすることもできない。いつの間にか解けた長い髪を乱して左右に首を振るのみだ。  しかしシドの我慢も限界で切れ切れに喘ぐ細い躰から己を引きずり出すと強引に突き上げ始めた。細い腰を引き寄せ最初から激しくスライドさせる。 「んっ、シド、いい……すご、い……ああっ!」 「ハイファ、すっげぇ気持ちいい――」  夢中でシドは突き立て貫いた。  二人分の快感を力強い律動で生んでゆく。思い切り擦られるハイファも抉られては掻き回され、快感に溺れきっていた。  腰が蕩けてシドと混じり合ってしまったような気さえする一方で、充血した粘膜は敏感にシドの形までも伝えてくる。  とろとろと蜜が床に滴った。  羞恥すら蕩かされて淫らにせがむ。するとこれ以上ないと思っていた快感が大きなうねりとなってハイファを襲う。 「んっ、シド、もう……だめ――」 「俺も、一緒に、行かせてくれ」  体内の奥深くでシドが何度も痙攣して弾けさせるのを感じながら、ハイファもシドの手の中に溢れさせていた。途端にハイファはその場にズルズルと頽れてしまう。  だがハイファは無意識にシドを締め付けたままでシドまでがしゃがみこまざるを得なくなった。抜くに抜けず絡みついたままのハイファの細い腰をシドは掴む。    そうして床に這わせたハイファを再び激しく攻め始めた。  やがて熱が引いたシドは己を抜き去るとハイファに声をかけた。 「ハイファ、大丈夫か?」 「大丈夫じゃない、動けないよ」 「だよな、すまん」  床に頽れたハイファをシドは横抱きに抱き上げた。十三キロのミリアットを自在に操るとはいえ細く薄い躰は至極軽い。そのままベッドに運ぶ。  金髪頭を持ち上げて汲んできた水のカップを口に近づけてやる。カップの水を一息で飲み干したハイファは溜息をつき、上体を起こしてシドの手を借り何とか身なりを整えた。 「何処か痛くしてねぇか?」 「今は痛くないけど、後で足腰に来るかも」 「……マジですまん」 「すっごく良かったからいいけど……どうしてこうなっちゃったんだっけ?」 「お前の発言と銃の撃発音……まあ、いいじゃねぇか」 「うーん、まずはリフレッシャ浴びなきゃ何にも始まらないよね」 「歩けるか?」 「もう少ししたら、たぶん」 「じゃあ、すまんが先に入るぞ。何かあったら言えよな」  着替えをロッカーから引っ張り出し、リフレッシャブースでシドはリフレッシャを浴びた。ドライモードで全身を乾かし新しいTシャツと戦闘ズボンを身に着ける。 「お先。お前、寝てればいいものを何してんだ?」 「んー、送ってきた資料、読んでた」 「いつからそんなに仕事熱心になったんだ?」 「失礼だなあ。僕はいつでも真面目でしょうが」 「仕事中にまで晩飯のメニューばっかり考えてる奴が、か?」 「毎日の晩ご飯まで手を抜かない、真面目な僕を捕まえて……あっ!」 「なんだよ、吃驚するじゃねぇか」 「冷蔵庫の中身パウチしてくるの忘れた。うわあ、これは本気で早く帰らないと」  料理のことなど何も知らないシドはキッチンではコーヒーを淹れるか酒を注ぐかしかできないので、いつもキッチンに立つのはハイファの役目なのだ。  我が牙城に腐臭が蔓延するかと思うと主夫は失態にこぶしを震わせる。 「それが今回のお前の原動力か。ほら、さっさと浴びてこい。今度は押し倒すぜ」
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