やる気復活!

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やる気復活!

「薬売る時にね、”必ず説明書読んでから使ってください”って言うの。私だって薬の事全部覚えてるわけじゃないのよ。それこそ新しい薬が毎年どんどん発売されて、とても追い付かないわ。それにクドクド説明されるのを嫌がるお客様もいる。そんな時に最適な魔法の言葉。でしょ?」  なるほど。それなら私にも言える。 「私たちって薬剤師みたいに大学で勉強したわけでもないし国家試験も受けてない。知らなくて当然なの。だから分からない時は正直にお客様にそう言うの。決して適当な事は言わない。知ったかぶりはしない。ね、それだったら誰でもできるでしょ? 私も資格取る前は説明書なんて読まなかったわ。でも勉強してみて怖い事してたんだなぁって思った。それこそ下剤を牛乳で飲んでたわよ。でも胃が丈夫で何ともなかったけどね」  小宮山さんはくすくす笑いながら売り場へ戻って行った。  分からなかったら調べれば良い。テストじゃないのだからカンニングも許される。それに私だって今まで説明書なんて読んだ事はなかった。でもそこには大切な情報が書かれている。自分のため、家族の健康のためにもみんなに読んでもらいたい。 「斉藤さん! お願い!」  さっきは落ち着きはらって頼もしかった店長が、アタフタしながら呼びにきた。 「外国のお客様ですか?」 「そうなんだよ。言葉が全く分からなくて」 「英語ですよね?」 「分からない」 「え〜〜!」  急いでレジから飛び出しお客様の方へ向かう。私が行かなきゃお客様は薬を買えない。そう思うと居ても立っても居られなかった。 「what's the matter with you?」  外国人のお客様は私の顔を見てホッと笑みをこぼした。この笑顔をこれからも見たい。素直にそう思った。 〈終〉
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