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バイト先はキラキラ
キラめくコスメ、甘い香りのヘアオイル。ここには私の好きな物が溢れている。
「斉藤萌花さん、じゃあ来週からお願いします」
「はい、よろしくお願いします!」
大学の夏休みは長い。それを利用して私はアルバイトをする事にした。バイト先はドラッグストア。休みの日には必ず訪れる私のワンダーランド。
キラキラのアイシャドウ、ツヤツヤのリップグロス、プルプルのフェイスマスク……。ドラッグストアにはオノマトペがいっぱい。擬音祭りだイエーイ!
こんなお店で働く人は、オシャレな人ばっかりなのだろう。そう思い店内を見回す。
レジにはお母さんよりも年上そうなオバサンがいた。まあパートのオバサンなのだろう。化粧品売り場で商品を並べている女性店員がいた。オカッパにメガネの真面目そうな女性だ。まあ化粧品担当じゃないのかもしれない。
ちょっとイメージとは違うが、とにかく来週が楽しみだ。私はドキドキワクワクしながらその日を待った。
初出勤の日に制服を渡された。グレーのポロシャツと黒いエプロンだ。
「えっと、この前渡した紙、読んでくれたよね?」
「はい!」
提出する書類の他に、持ち物リストがあった。メモ帳、カッター、印鑑。バッチリ持ってきている。
「服装とかの注意事項ちゃんと読んだ?」
「はい。長い髪はまとめる、爪は短く切る。香水禁止、メイクは華美にならないように。ですよね?」
ちゃんとその通りにしてきた。髪はピンクのラメ入りシュシュで縛ってきた。メイクもいつもより控え目にした。アイラインはアイシャドウで薄めに引いた。チークはラメの入っていないものにした。口紅は自然なピンク色。。制汗スプレーも無臭のものを使った。
「ヘアゴムは黒にしてください。髪の色もちょっと明るすぎだな。次までに濃くしてきて」
「え……はい」
「それから口紅……決して華美ではないけど、ツヤ感あり過ぎかな。グロスはやめといて」
「はい……」
店長さんはまだ何か言いだそうだったがそれ以上言わなかった。
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