第11話「幻影」

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資料にはここ最近起きた誘拐事件に関する詳細なデータが記されており…前科を持っている人間たちもリストアップされていた。その中でアッシュが目を付けたのは「ジョン・リィク・レストン」という男である。 彼は…過去に暴力沙汰を起こして一度捕まった過去があり…その際に採取された指紋が残されていた。一見すると今回の誘拐事件には何ら関わりの無さそうなこの男だが…あながち無関係という訳でもない。 というのも…ここ最近起きた誘拐事件は全て彼の自宅から半径10km以内で行われていたからだ。そして何よりアッシュが着目した点は彼が小児性愛者であったという点だ。 アッシュが事前に調べたカルテでは彼は過去に何度か精神科に通院していたのである。その為…ここ数日間ジャックスは彼に成り済まして何度か彼を診察した医師の男性とコンタクトを取っていた。その時にわかった情報こそが彼が「小児性愛者」という紛れもない事実なのである。医師のジェイムスはジャックス扮するレストンに何度も「道を踏み間違えるな」と指摘しており「薬が切れたら私の元に来い」とも言っていた。そして…口々に「彼は元気にしているか?」と発していた。「彼」とは?誰のことだったのかについてはわからなかったが…1つだけ確かにわかった事がある。彼と呼ばれたその男が少なくとも4つの事件に濃密に関わっている可能性が高いと言う事だ。 そしてその事件こそが…アッシュがジャックの関与を疑っている事件でもある。
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