博士と僕

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 白髪で髪が真っ白になっていて髭をぼうぼうに生やした胡散臭い博士が言った。 「今回の薬は成功だ。君に飲ませてあげよう!」  博士が満足そうな笑みを浮かべて三角フラスコを僕に差し出した。 「博士。貴重な薬を飲ませて頂いてありがとうございます。これはどんな効果がある薬なのですか?」  博士が眉を上げて、一つ咳払いをした。 「いいから飲んでみたまえ。決して人類にとって損のない代物だ」 「この紫色の毒々しい薬を飲めばいいのですか? ちょっと怖いのですが」 「色は悪いが効果は抜群だ」  僕は辺りを見回して、気になったことを博士に尋ねた。 「博士、そういえば助手がいないですね。どうしたのですか?」  博士が苦い顔をした。でも眼の奥が光っていた。 「助手は辞めたんだ」 「そうなんですか。新しい助手は募集しないのですか?」 「そんなことより、早くその薬を飲みたまえ」  僕は腕を組んで考え込んだ。その時に博士が鼻をかいていた。僕はそれを見逃さなかった。博士が鼻の頭をかく時は何か都合が悪いことがある時だ。 「博士。僕はこの薬を飲むのをやめます」 「そんなこと言わないでくれ。頼むから早く飲んでくれ」 「どうしてもですか?」 「どうしてもだ」 「薬の効果を教えてくれたら飲みます」
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