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玖拾九夜
もう何年も見る夢がある。
古くて大きな家。
小さな女の子がこちらに手を差しのべて、こう言うんだ
「一人で行くのは淋しいから、一緒に逝きましょう?」
「んー。あと三年、あと三年待ってくれないかな。」
「わかったわ。三年後ね。」
三年後。また夢を見た。
古くて大きな家だ。
小さな女の子が笑いかける。
「さあ、逝きましょう?」
「うーん。あと、二年待ってよ。」
「わかったわ。二年後ね。」
二年後。また夢を見た
「ねぇ、今度こそ一緒に逝きましょう?」
「やっぱり、あと五年待ってよ。」
「えー。またぁ」
「五年したらさ、一緒に行くからさ。」
「約束だよ。」
数年毎に見る夢で、三回目辺りで「前に見たことある夢だな。」と気づいた。
さて、来年がその五年後なわけで………………。
今度はなんと言い訳をしようか。
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