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二夜
この時期になると、会いたい霊がいるのです。
数十年前のこと。
当時、押し入れベッドで寝ていたのです。
その日は暑くて暑くて、寝付けなくて、ひんやりした場所を探していたら、あったのです。
それは、手だったのです。
自分の手がこんなにも、ひんやりとして気持ちよいものだとは。
ひんやりとした手を両手で抱き締めて頬ずりして、気がついた。
ん?誰の手だ。これ?
青白い細い筋肉質な手を抱き締めてている。
肘までしかない手。
ああ、幽霊の手てっ、アイスノン代わりになるのか。としがみついた。
手、ハンド君は、逃れようとバタバタともがくが、こんなひんやりアイテムを逃すわけには、いかないと、がっしりと掴む。
このハンド君さえいれば、熱帯夜を乗り越えれるのだ。
「ぎぇぇぇぇ」と、ハンド君は悲鳴をあげて消えていった。
私のアイスノン代理が消えてしまったのだ。
ハンド君…もう一度現れてくれないかなぁ。
そしたら今度は確実に捕縛するのに。
と、夏になる度にハンド君に思いを馳せてしまうのです。
ちなみに、この時寝ていた方位がかなりヤバイ所でして西の方位に北枕は、死体安置所の位置らしく、いろんな目にあったなぁ。と
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