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愛の告白のような言葉に狼狽えたコガは女に背を向け、握りこぶしを作り言う。
「とにかく、我らの活動する時間は終わりなのだ。急ぎ戻らねば皆が心配する」
「そう……そうよね。あ、私はマキ。あなたの名前は?」
「コガだ。月の神に会えたことは一生の宝だ。じゃあ」
「月の民でしょ」
「いや、君は……月の神そのものだよ。儚く孤高の月そのものだ」
本心だが言い過ぎたと思い、コガは慌てて砂浜を駆け出していった。そのまま舟を海に出すと飛び乗り、振り返ることなく自分の島に向けて櫂を一心不乱に動かしていた。
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