迫る 時間・・・

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迫る 時間・・・

「映画 何時から?」  拓哉が美穂を見ながら聞いた 「後 1時間位有りますから 大丈夫ですよ」 注文してから 30分が過ぎ 飲み物はテーブルに届いているが 店内が 混雑し 係が二人 走り回っているのが見える  美穂も少し 不安そうに 壁に掛かっている時計を  時折 見ていた 「お待たせ しました」  作務衣を来た 女の娘が 二つのボールを持ち 目の前の 焼けた鉄板に乗せて行く 「これ 大きく無いですか?」  美穂は鉄板の上で焼かれるお好み焼きを 見ながら 拓哉に言って来た  「そうだね少し 大きいかも」  拓哉も焼かれている お好み焼きを見ながら頷いた 時計を見ると 上映まで後40分 「まだ 返せないですよね」  美穂も壁の時計を見ながら 不安そうに呟いた 「焼けたかな?」  拓哉はコテで お好み焼きの端を持ち上げてみる  まだ 焼き色が薄く 返すのは早いようで  諦めてコテを皿に戻した 2人は お好み焼きと 時計を交互に見ていた 「返しますね」  通り掛かった従業員が 手際よく二枚のお好み焼きを返し へらで軽く押さえ  お好み焼きから ジューッと音を立てて来た 「後5分程で 召しあがれます」  女の娘は言いながら席を離れて行った 「進藤さん 20分でこれ食べられる?」  拓哉はお好み焼きを見ながら 聞いた 「頑張ります」  時計を見て 美穂は頷いた 「良し 食べようか?」  拓哉は二枚のお好み焼きを 四分の一にカットしていく 2人 皿に乗せ 食べ始めた 「熱い・・ア・チチ・・熱い」  2人同時に騒ぎ出した 焼きたての お好み焼きは熱く 一口入れた時  火傷するかと思うほど熱かった 「お持ち帰り 出来ないかな?」  美穂が口に運びながら言う 「無理みたいだね」  拓哉が壁を指した 壁には お持ち帰りは出来ませんとポスターが  告知していた 「頑張って 食べないと」  美穂はお好み焼きを へらで小さくカットしながら 食べていた 残り時間10分 「御免なさい こんなに時間かかると思わなかった」  美穂が済まなそうに 謝って来た   「90分有れば 普通大丈夫でしょ 今日は遅かっただけ   進藤さんの所為では 無いよ」 拓哉は お好み焼きを頬張りながら 話していた 「工藤さん これお願いして良いですか?」  美穂が四分の一の お好み焼きを指した 「良いよ!!」  美穂とお好み焼きを分け合い 拓哉は口の中に放り込んだ 「熱う・・・ 」  口の中のお好み焼きを  拓哉は慌てて ドリンクで流し込んだ 「行きましょう」  美穂が立ち上がり 拓哉を促す 2人 シネコンに走り込んだ 席に着いた時は  2人息を荒げ 思わず笑いだしていた
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