小さな芽が 出始めて

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小さな芽が 出始めて

「美味しかったです ご馳走様」  美穂が拓哉を見ながら言う 「良かった 気に入って呉れて」  拓哉は美穂の嬉しそうな瞳を見て 微笑んだ 「食後のコーヒーかな」  拓哉は呟き 車を走らせ海岸沿いの  コーヒーショップに車を止めた 海の見えるテラスに 座り  拓哉は注文を取りに来た店員に 「アイスコーヒー 二つ」 注文した テラスから 海岸が見え寄せて来る波頭を見せ  シーズン前の海岸は 人の姿も少なく  静かな時間を流していた 「お待たせいたしました」  大ぶりなグラスがテーブルに シロップとミルクも置かれた 「ここの アイスコーヒーも 飲んで貰いたかったんだ」  拓哉はミルクを入れ ストローでグラスをかき混ぜ   美穂を見た 「美味しいです」   美穂は一口飲んで 拓哉を見て言った 「これね オーダーしてから 氷の上にカリタで落とすんだ」 「だから 凄く美味しくって 此処に来たら必ず寄るお店なんだ」  拓哉は喜ぶ美穂を見ながら 話し続けて居た 「進藤さん」  和也の言葉に 美穂が顔を上げた 「俺と・・・僕と・・・付き合って呉れる?」  拓哉は 不安な面持ちで 美穂を見つめていた 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・はい・・宜しくお願いします・・・・」  美穂が 少し赤く成った顔で答え   拓哉の顔から笑顔がこぼれた 「バーベキューの時 話した時から 進藤さんの事気に成って居たんだ」  拓哉は 胸の内を話し始め 「私も 工藤さんとお話した時 気に成って居たんです」  美穂が赤い顔で 拓哉を見つめていた テーブルの アイスコーヒーも氷だけに成り  カフェの前の道路を走る車の音だけが 2人に届き  小さな恋に ほんの少しだけ水が注がれ  芽が出始めた時だった 「行こうか」  拓哉が立ち上がり 美穂が付いて車に乗り込み走り出した 「海岸 行って見る」  拓哉が指さすと美穂は頷いた  車から シートを抱え 砂浜に広げ二人は腰かけ  海を見て その日は 会話を楽しみ  可愛いデートは終わりを告げた
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