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一応、事情を知るギデオンなどの高位の軍人たちが、レイナを丁寧に扱ってくれるので、軍の宿舎であっても、レイナはさほど嫌な思いはしなくて済んでいる。
「でも、この状況、どうにかしなくてはね」
レイナは、部屋でサジュームと二人きりになったとき、言った。
「まぁ、なるようになる」
と、サジュームは鷹揚に笑うと、またレイナを抱き寄せた。
(最近、サジはよく笑うようになった)
レイナは、抱擁の温かさを感じながら、彼の変化を考えていた。彼と出会って十数年経つが、まだ知らない彼がいるのだろうと知らされる。
知らなかったと言えば、レイナは、男女の営みの深みに、自分がここまではまるとは思わなかった。
傍から見れば、若いレイナに溺れる壮年のサジューム、という構図であるが、二人きりになれば、どちらがどちらに溺れているのか分からないほど求め合っていた。
お互いの体の隙間を埋めることで、今までの時間の隙間だけでなく、心の隙間を埋め合っていた。
疲れたら、お互いに腕枕を交代しながら、語り合うのだ。
お互いがすれ違った心情を、答え合わせをするように語り合った。
語り合ったあと、お互いの言葉足らずを反省して「隠し事をしないように」などと約束し合う、甘い時間を過ごすのだった。
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