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1 セストの提督
アナトリア王国は、セスト自治州と軍事同盟が締結されたことを受けて、市街の治安が安定するまで、一時的にセスト港に駐留軍を置くことにした。
セストの街の中には、火災で焼けた家屋が散見された。
同盟締結前におこった、市街全体を巻き込むガラティア勢力とアナトリア勢力の衝突の名残である。
しかし、そこかしこに不穏な雰囲気が漂っていた以前と違い、今は、不要な対立が排除された平和を、街の住民は感じていた。
街はずれにあるレイ&グース商会でも、火災で損失した建屋の修繕で、朝から大工たちが出入りをしていた。
建屋が使えないからと言って、街の復興に必要な木材の供給を欠かすことはできない。今の時期は、従来行っていた競りの手順を省き、広い敷地で「青空市場」のように木材を販売していた。もちろん、良心価格である。
この商会の代表の「レイ」ことレイナは、敷地内の従業員や建屋の大工に指示を出しながら、駆け回っている。
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