45人が本棚に入れています
本棚に追加
「平たく言うと、生きていて良かったとか、生まれてきて良かったなどという気持ちを、感じることができたということです。あなた無しで、私はその境地に達することはなかった」
と彼は言った。
「だから、レイナ。あなたが、私に悪いと思うことは何もないのです。あなたは、私に謝るばかりでしたが、もう謝らないで。私だって、言えなかったことがあったし、私の悲しみは、あなたのせいではありません」
「でも…。私がよくなかったのは事実…。私がちゃんとあなたに話しておけば、あんな結果にならなかった…」
レイナがそう言って俯くので、サジュームが慰めるように背中をさすった。
「後悔のない人生はありません。今回は、お互いに辛過ぎた」
サジュームは、腕でレイナを包むように抱きしめた。サジュームは、その胸にレイナの頬の温もりを感じながら
「私たちにできることは、天に帰った小さな命の存在を、忘れないでいることではないでしょうか…」
と、言った。
最初のコメントを投稿しよう!