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その言葉に、レイナは思わず涙がこみ上げてきた。
そして、頷いてから、
「…私は、軽率だった。私は、傲慢だった。今回の悲しみは、それを私に教えてくれたの」
と、言った。
そう言うレイナの背中を、サジュームは撫でながら言った。
「軽率で、傲慢だったのは、私も同じです。あなたを手に入れた喜びに溺れていました」
そして、レイナに回す手に力を入れ、ぎゅうっとレイナを抱きしめると、その耳元で、
「よく逃げませんでしたね」
と言った。ペリクレス家で大人しく暮らしていることを言っているのだ。
「もう!」とレイナは、サジュームの背を叩いた。
笑いながらサジュームは、レイナから体を離すとその両手を取った。
「逃げてもいい。また、追いかけます」
日差しで照らされたサジュームの顔は、なんだかいつもより笑っているように見えた。
「今更なんですが…」とサジューム。
「なに?」
と、レイナは小首をかしげて訊いた。
「改まると、言いづらいですね…」
「なによ。なに?」
「えっと…。言いますよ」
「だから、なに?」
「…」
「言ってよ!」
「…、結婚してください」
「!」
レイナは、面と向かって言われて驚いた。身を引こうとしたレイナの手を、サジュームは強く握った。
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