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「いろいろ解決しなければいけない問題がありますが、やはり、ちゃんと夫婦になりましょう」
とサジュームは言うと、慌てて
「もちろん、今でもあなたと夫婦と思っています。大切な伴侶であることは、変わりないんです。ただ、二人の間の結びつきに満足するだけでなく、人前で堂々とあなたを妻だと紹介したい」
と言った。
そして、
「これから起こる、どんな苦しみも、分かち合いたい」
と、見つめてきた。
「『レイ』と結婚するの?」とレイナ。
「あなたは男のレイであり、女のレイナです。いいじゃないですか。男にもなれる女。まさしく、人の心を惑わす私の魔女」
そういうと、サジュームはレイナにキスをした。軽く触れる温かいキスだった。
「結婚、してくれますか?」
唇の先で、再び彼が訊くと、レイナはキスを返してから、「もちろんよ」と答えた。
その顔では、喜びで大きく弧を描く口元が、瞳の涙を受け止めていた。
(了)
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