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僕がベッドに潜り込むのを確認したおじいちゃん先生と父様母様は、ゆっくり休んでねって言ってお部屋の外に出て行って。
僕は扉が閉まった音を確認してから、一度頭を整理しようと被っていたお布団からのそのそと出てベッドに座って短い腕を組んで目を閉じた。
えーっと。僕は日本で生きていた記憶がうっすーらあるけど、今はこうしゃく家次男のノア・フローレス、10歳らしい。でも僕日本の記憶もふんわりしているし、ノアの記憶も無いんだよねぇ。
日本では異世界転生しておれつえー！とか異世界に召喚されちゃった！ちーとでうぇい！みたいなのが流行って『日本の僕』も好きだったと思う。だから『こっちの僕』はその流行った異世界転生ってやつなのかもって思ったんだけど。
……僕、ちーとあるのかなぁ？今の所ただの記憶喪失なショタなだけなのだけども。
うーん、無い気がする。だって不思議な力とか感じないし。
ちょっと残念だけど、まぁそれはいいのだ。
一旦それは置いといて。父様がダニエルさんで母様がアンドリューさん。多分母様は男の人、なんだよね？
なんてチートな能力の方に逸れそうになった思考を戻すために、確認するみたいに頭の中で呟く。さっきは色々混乱して父様と母様の事をあまり観察出来なかったんだけど、とってもお顔が綺麗だったのは覚えている。
父様はサラサラの水色の髪の毛に、晴れ渡ったお空みたいな綺麗なスカイブルーの瞳。身長もすっごく高くてスラっとしてる。優しそうに笑みを浮かべる父様はなんだか王子様みたいな甘ーいマスクなのだ。
母様は漆黒って感じの真っ黒の髪を腰くらいまで伸ばしていて、同じく真っ黒の瞳。父様よりは背が低いけど、それでも175センチくらいはありそうな身長に細っそりとした体の美スタイル。なによりお顔の造形が美しいのである。とてもね！トロンと垂れた目元に泣き黒子があって、なんともセクシーなのである。
最初は母様が女性だと思ってたんだけど、声はハスキーだし色々装飾が付いててフリフリではあったけどシャツにパンツのシンプルなスタイルだったし。なにより名前がアンドリューだし。やっぱり男性だよね。すっごく綺麗だからちょっと信じられないけどね！
･･････うん、それくらいしか情報が無いっ！もはや分からないことが多すぎて何の情報が必要なのか分からないよねぇ。
うんうん、って1人で謎に納得をしてパチリと瞳を開くと。
「･･････わぁッ！」
誰も居ないと思っていた部屋の壁際に美ショタ君が微動だにせずに佇んでいたのである。
びっくりした。すっごく心臓バクバクしてる。お口から心臓が飛び出ちゃうかと思った！
「ノア様、いかがされましたか！？」
僕がおててを心臓に当ててバクバクを抑えようとしている所を見た美ショタ君が、すっごく心配そうなお顔をして高速早歩きで僕のそばまで来てくれて。
そんな心配そうなお顔をしてる人に貴方のせいで驚いて心臓飛び出しちゃうかと思った！なんて言えなくて。フルフルって首を振った。
「んーん、ごめんなさい。何でも無いです」
「本当ですか？何でも言ってくださっていいのですよ？」
ありゃま。もっと眉毛がへにゃんってしちゃった。こんな美ショタ君に悲しい顔をさせちゃダメな気がする。僕の心がチクチクするし。
「あの、じゃあ、えっと。お名前、教えてください！」
何か、何か言うのだ！って捻り出しました。驚いた理由にはなってないけど、まさか本人に美ショタ君って言うわけにもいかないし、ちょうど知りたかったからコレでいいのだ。いいったらいいのだ。
「え？俺の名前？」
キョトン、としてしまった美ショタ君。一人称も私から俺になってるし。名前聞いただけなのに、僕何かおかしかったかなぁ？
コテリ、と首を傾げ美ショタ君を見上げる。
「お名前、教えて欲しいの。だめ？」
「だっだだだだだめなんて！そんな！そんなことは･･････っ！」
何故かお顔を真っ赤にさせてプルプル首を振る美ショタ君。暑いのかな？大丈夫？
「わ、私はサミュエル・ジョンソンと申します。ノア様の専属侍従を務めておりますので、お気軽になんでもお申し付けください。そしてどうぞ私の事はサムとお呼び下さいませ」
鮮やかな青い髪に瑠璃色の綺麗な瞳の美ショタ君は、なんと僕の専属侍従さんでした！びっくり！
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