1 ヤスコさん①

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「ええ、もちろん。父だって言いなりになっていますが、うんざりしています。自己顕示欲と自己満足に突き合わされて心底迷惑していますし、家族から見ても母親の行動は不自然で痛々しく、誰も幸せになれない結果しか待ち受けていない気がするんです。だから、出ていく前に……母に、あいつにはちゃんと仕返しして、猫もどうにかしようって、父と決めて、ようやく一人暮らしを応援してくれるようになりました。だって、何より……猫たちがかわいそうじゃないですか。いや、猫が好きなわけじゃないんですけどね」  好きなわけじゃない、とはいわゆる唯さんなりの「ツンデレ」にも見えなくもない。  きっと彼女は、唯さんはひそかに「猫が好き」なんだろう。  だからこそ、捨て身に近い形で私にメールを送ってきたんじゃないか。 「わかりました、では改めてよろしくお願いします」 「はい、よろしくお願いいたします」  互いに一礼したのちに、スマホのボイスレコーダーと、ICレコーダーを起動させる。  なんだか緊張しちゃう、と唯さんがそっと、照れたようにつぶやいた。
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