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夏場になれば猫やその排泄物のにおいが服や髪の毛にしみこんでしまい、悪臭を放つからどうにかしてほしいと懇願しても、従わない。
トラブルを自分からまきちらしているような、そんな印象を受けてしまう。
「家では大きな声で叫んで猫たちをびくびくさせて、あれしろこれしろ、あれをよこせこれをよこせってうるさいくせに、ずいぶんと違うんだなと理解に苦しみました。父は私たちに甘えているんだって言っていましたけれど、子供ならまだしも、いい大人が甘えて暴れていいなんて、そこまで優しい考えを、私はお人よしじゃないので、ああそうかって納得できません」
うなずける意見だなと、私もそう感じた。
猫が好きならまだしも、苦手なのに保護をして、あとは放置している。
しかも、面倒なことは家族に任せてかわいがることだけを維持して、表舞台に立って、いかにも「心の清らかな人物、奇特な女性」を演じて悦に入っている。
裏側では、ただわめきちらし、家族を従わせているくせに。
傍若無人な態度を外ではすっかりひそめて、ただやりすごし、間違いを正さない、悪い意味での「頑固さ」ばかりを目立たせる。
家族はもちろん、周囲にいる人間はストレスを与えられて、心がすり減ってしまうに違いない。
「これには父もたまりかねて、ちゃんと仕事して認められないと猫の食事やトイレの整備もできないじゃないかって、母を注意しました。でも……」
「聞き入れなかった、ということですか?」
失礼ながら、先走って問いかけると唯さんは「そうです」とうなずいた。
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