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ここよりいいところは、そとにはいくらでもあるだろうにって。
オニババはほんもののオニだ、おとついだって、おなじようにうめられた、ばあさんがいただろうって。
みんな、こそこそ、ひそひそとおはなししていたから、ねたふりをして、ずっときいていたの。
だれもむかえにこない、だれもここからだしてくれない。
オニババは、にやにやわらっている。
こねこがいれば、たくさんつれるって。
あとはああだこうだといって、ことわれば、どうにかなるもんだって。
ことばがわからないとおもっている、おろかなもんじゃ。
オニババのこえをきいて、ふわふわしたひげの、おじいさんがいっていた。
あのおじいさんも、ずっとまえに、うめられたらしい。
ぐったりとねころんで、そのままうごかなくなって、つめたくなって、なにもいわなくなってから、オニババがしっぽをつかんで、さかさにしたままつれていっちゃった。
オニババはきらい、だいきらい。
そうだ、またさがしにいかなくちゃ。
おかあさんがおしえてくれた、やりかたで、さがしにいかなくちゃ。
やさしいひとが、いるところ。
おいしいごはんが、あるところ。
おそとをながめたり、あるいたり、とびはねたりすることができるおうち。
もう、おてても、あんよも、ふらふらしていてうごけないわ。
きたないオリも、オニババも、みんなみんな、いやなのに、どこにもにげることができないなんて、かなしい、かなしい。
でも、でもねおかあさん。
わたし、じょうずにできるようになったんだよ。
こころだけを、そとにだして、すきにうごけるようになれたんだよ。
まっていてね、みんな。
わたしね、ぜったいぜったい、ここからでていくんだ。
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