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私は不思議に思って、おばあちゃんに尋ねたものだった。
「私の方が、気の強そうな顔してるってママとパパには言われるよ?あと、ほっとくとどっか行っちゃうのが私で、いつまでも縁側でちゃんと座っていられるのが紫音だってー」
「あははははは、それを自覚しているのに、すぐ走っていっちゃうのが花音ちゃんやんね」
「だって、座ってるの退屈なんだもん。足痺れるし!どーして紫音は正座してても全然平気なのか、いっつも信じられない!」
歯に衣着せぬ物言いをする娘。昔からそう言われてきた私。自分でも多少なりの自覚があった。
そしてそんな私を、くすくすと着物の裾で口元を覆いながら笑ってみているのが紫音だったのである。
「花音は、その元気いっぱいなのがいいところ。紫音は、そんな花音が大好き。だから、花音はずっとそれでいいと思う。花音が楽しそうにしているのを見ると、紫音もとっても楽しい」
「わーい、私もお姉ちゃん大好きー!おしとやかにしろって全然言わないんだもーん!」
活発でお転婆、男勝りな私――花音。
お淑やかで物静か、聡明で優しい姉、紫音。
顔はそっくりなのに、私達はまったく正反対の双子で。だからこそきっと、気が合ったというのもあるだろう。屋敷の敷地内で私が男の子たちと木登りや鬼ごっこをしているのを、紫音はいつも楽しそうに見ていた。彼女が遊びに参加しないのは、私よりずっと足が遅くて体力がないことに起因している。幼い頃から喘息があって、思うように走れないというのも原因の一つらしい。
でも、彼女はそれを苦だとは思っていないようだった。もとより、外で遊ぶより、部屋で本を読んだり絵を描いたりする方が好きな子供であったからだ。そして、私が友達と鬼ごっこをしている姿を見る方が、参加するよりずっと楽しいのだということも言っていた。
私達は普通の子供だった。この村の御三家の一つ、柊家の娘であるという点を除くのであれば。
柊家、橘家、桜家。
この三つの御三家は、ある役目を持っている。
それはこの村が、最初に神様が訪れたとされる聖地とされていること。この聖地を守り続ける仕事があるということ。そして。
数年に一度降りてくる、十二支のいずれかの神獣。
その妻となる娘を、御三家のうちのいずれかから選抜しなければならないということだった。
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