幼なじみと青い春② 〜ずっと側に〜

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「圭くん……」 真っ赤な顔をして布団に包まりながら、美月は圭一を呼ぶ。 「……何?」 「……来てくれてありがとね」 へらっと美月は笑う。 圭一は大きなため息をついた。 「美月、お前さあ、本当に調子乗りすぎだからな?」 「うっ、わ、わかってるよぅ」 口を尖らせる美月を見て、圭一はますます大きなため息をついた。 昨日は下校中、突然の大雨に見舞われた。高校が同じで家も近所の二人は一緒に帰っていたのだが、どこかで雨宿りしようと提案した圭一に、美月は一度雨にどっぷり濡れてみたかったなどと意味不明なことを言って一人はしゃいでいたのだ。 「うわー、やばいっ。パンツまで濡れたー」 高校三年生にもなって恥じらいも何もない美月。圭一の前でも容赦がない。 「……やめろ」 圭一だけが不機嫌に眉根を寄せる。だんだんと下着が透けて見えるようになり、圭一は美月から目をそらした。さてこのお馬鹿な幼なじみをどう連れ帰ろうかと思案している間にも、雨は轟々と降り続いている。 「美月、もうやめたほうがいい。風邪ひくぞ。あと、下着が透けてる」 「やだっ、圭くんのエッチ」 「……なんでだよ」 「は、は、は、はくしゅんっ」 「ほら見たことか」 やれやれと、圭一は美月を無理やり連れ帰った。ちゃんと体を拭け、風呂に入れ、今日は早く寝ろ……散々と指導したはずだった。 それなのに翌日、この様なのだ。しかも携帯のメッセージで『熱出た。親いない。助けて』と片言の日本語のように送ってくるものだから、こうして駆けつけた訳なのだが。
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