4人が本棚に入れています
本棚に追加
『俊雄さん、いらっしゃ~い。外、暑かったでしょ?』
「いやぁ、まだまだ夜も暑いねぇ。零羅ママ」
額の汗をアニメ柄のハンカチで拭う男、片瀬俊雄をママが迎える。
ハニーブラウンの巻き髪に癒されるような垂れ目。小さめの唇にはヴェルベット45のマゼンダピンク。今年四十八歳になるとは思えぬほどの白く美しい肌。
ひとつひとつの仕草どれを取っても所作が美しく上品であり、まさに女王と呼ぶに相応しい。
対して俊雄は、五十四歳になるが、年齢の割に髪が黒く、少年のような輝きを瞳の中に宿している。平たく言えば精神年齢が子供なのだ。
彼は今だに少年時代からの夢であるリアルロボットに乗る夢を捨てられずにいた。
そんな彼だが、顔はかなりヤバい。どのくらいヤバいかと言うと、地元のヤンキーが道を空けるくらいヤバい。
噂では、その筋からスカウトされた事もあると言われており、職場ではターミネーターと呼ばれ恐れられている。
しかし、彼のハートは実にピュアであり、こうして客としてママに会いに来るのが精一杯であった。
最初のコメントを投稿しよう!