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「今日はどうします?ご指名ならマコかサツキが空いてますよ?」
俊雄は迷う。いい年こいて未だギャルしている真子は避けたいが、サツキは大人しめの女性で会話が弾まない。
出来れば会話を楽しんで、家で角を生やしている三十歳下の彼女の存在を忘れたい気分なのだ。
まだ若い彼女は、やれネズミの国に連れて行けだの、静岡県の某ハイランドに行きたいだの、並ぶのが嫌いな彼に地獄のようなおねだりをする。
どちらかと言えば彼は、アニメショップで物色したり、家で女児向けアニメを観たい派である。
「じゃあ、マコちゃんで。あと、もしジュンコちゃんが空いたらお願いするよ」
ママは頷き、マコを呼ぶとギャルの気だるそうな「は~い」と間延びした返事が聞こえた。
「お客さん何気に初だよね~?ヨロ~」
「うん……よろしくねマコちゃん」
俊雄は気乗りしない返事で、紙タバコを口に咥える。すかさずマコがライターをタバコの先に添え、カチっと──。
「あちっ!」
ライターの炎は最大になっており、俊雄の口元を襲った。幸いにも火傷はしなかったものの、精神的疲労は否めない。そんな彼にマコの「ウケる~」が追い討ちをかけたのであった。
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