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マンションに戻ってすぐにシャワーで汗を流してから、組員が買って来たデリをいつものメンバーで囲むが、紗栄子は少し食べてふらっと居眠りをしそうになる。
俺が膝に乗せ横抱きにしても、皆がいるだとかの抵抗もせずに眠りに落ちていきそうだ。体温を確かめても正常。よほど疲れたあと、緊張の糸がプツッと切れたのか…
「寝ていいぞ」
俺がそう言った時にはスーッと深く紗栄子の体が俺に沈んできた。
「寝たな」
「一気に全ての機能停止って感じだね」
「生きた心地のしない緊張の中で頑張っておられたので」
舞生と福嶋が頷き合っている隣で
「私が表から戻らず裏へ行っていれば、白バンも伊坂も見つけられたんです。申し訳ありませんでした」
芦田が深々と頭を下げる。
「あれが最善で、無駄はひとつもないと俺はさっき紗栄子に言った。芦田がそれを否定するのか?」
「…っ…いえ。ありがとうございます、若」
「紗栄子もひとつも人のせいだと思ってねぇ。伊坂に向けた言葉でさえあれだ…自分は外側に置いてる。まだまだ一緒に生活をしてやらねぇとな…」
「その通りです、若。ですから姐さんをストップされたんですよね?」
「ん」
福嶋に応えると
「そうだよなぁ、紗栄ちゃんに姐さんはまだキツいよな」
空雅がソファーにもたれた。姐さんとは俺の母親。組長になれそうな強烈な姐さんだ。
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