part 13

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現場到着直前に姐さんから車で待機すると連絡をもらった。女がいた方がいいという理由は、紗栄子がヤられたという想定のもとでの申し出だったが俺は断った。 最悪、その場合…俺たちが暴れている間に、姐さんが紗栄子を病院へ連れて行って処置してもらうってことだろうが、組長になれそうな姐さんのことだ… 「一度や二度襲われたくらいでイヤになるならヤクザなんかと付き合えないよ」 くらいのことは余裕で言うことが目に見える。姐さんの強烈さは、今の紗栄子にはまだ無理だ。 親父には100%の信頼を置き従順でありながら、個の強烈さを隠さない母親は若い組員の母親でもあり、常に3人の側近を従える極妻丸だしの姐さんだ。 「姐さんと紗栄子さん…全く違うタイプですが合わないことはないと思うんです。面白い化学反応が起きる予感がしてるので」 「兄貴に一票。ボクもそう思う。紗栄ちゃんが話をよく聞くタイプ、姐さんは人の先までパンパン喋るタイプでネチネチ一切無し。で、ポロッと紗栄ちゃんがあの“みんなも元気?”みたいなことを言う…」 舞生が思い出して笑うと、皆も笑っている。 「あれは素でしたね」 芦田に皆が頷き 「返り血のぷっしゃぁっていうのも、オレ笑いそうになったんだよ。紗栄ちゃん、真顔でさ…勘弁してって思った」 「くうちゃん、耐えられてなかったよ」 「いや、一切笑わなかったって。舞生が笑ってたんじゃないのか?」 「くうちゃん」 「舞生」 「くうちゃん」 「舞生」 とくだらないやり取りが続く。とにかく今の紗栄子にはまだここでの生活の安定が必要。本家どころではない。親父には報告しているので急かされてもいない。俺たちの周りには訳ありの人間はたくさんいる。ゆっくり向き合う必要があれば、ゆっくり向き合うのみだ。大切な存在なら尚更大切に。
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